Sales Is Dead

もしかすると世間で一番過小評価されている職種はセールスかもしれない。

モチベーションが下がる時の対処方法

 先日、営業職のとある同僚が会社の方針について愚痴を漏らしていた。自分が担当しているアカウント(顧客)の一部が変更になったとの事。よくよく聴いてみると、せっかく構築した顧客との関係が台無しとなるため、強引な担当替えは少々理不尽に見える。「モチベーションが下がった。やってられない!」と捨て台詞を吐いてた。

 一方では、会社側は営業リソースと顧客の見直しが進められており、各営業の能力や経験、人脈などに応じて、担当する顧客の業界や系列を、より適したものにするための改善をしているようだった。各担当からの個別の反論は必至だったが、全体としての最適化を進めるため、そこは強行する。

 

 さて、既存顧客との関係を重視したい担当と、最適化を進める会社側では、正しいのはどちらだろう言えば、各論で言えば前者が正しいかもしれないし、会社全体の戦略目線で言えば、後者の方が正しい。そして、組織においてはハイレベルでの決定事項が優先されるのは致し方がないだろう。

 このような例は会社勤めをしていれば、営業職に限らず良くあるのではないだろうか。自分の中での正義が全体の優先事項にならずに聞き入れてもらえない事など、この社会には数え切れないほど存在する。その度に無力感や悔しさから、「モチベーションが下がって」しまうのだろう。それではこの精神現象に対処するにはどうしたらいいのか。

 一つは、モチベーションなるものは、そもそも役に立たないし、さして必要ない、と知る事。前述の通り理不尽なシチュエーションというのはこの社会で無数に存在するので、その度にネガティブな影響を与えるようでは全く使えない。逆に尊敬する先輩や、気にかけている女性なんかににちょっと声を掛けられただけで、気分が高揚し、モチベーションが上がったりする事がある。結局その程度の事で上がったり下がったりしちゃう、虚ろい易いただの感情なのだ。

 僕はモチベーションが長期的には役に立たない事を知っている。学生時代から複数の会社で営業という販売の仕事に関わって十数年になるが、どの環境でも結果を出してきた。その経験上、モチベーションが決め手だった事は一度もない。

 モチベーションが気持ちを着火し、仕事を推進する原動力として有効かもしれないが、それがないと仕事が手につかないようでは本末転倒である。なので、僕はモチベーションはとうの昔に捨て、代わりに「習慣」を身につけた。習慣とは、決めた事を決めたタイミングで日々淡々とこなすこと。春夏秋冬、雨でも雪でも、疲れていても二日酔いでも、朝起きたら顔を洗って歯を磨くのと同じである。やると決めた日々の仕事については、ただただ、ひたすらやるだけだ。これが、中長期で大きな結果をもたらす事は間違いない。